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■理学療法アラカルト 新しい栄養状態の評価「GLIM基準」
未分類2024.12.06
私は沼田市にある利根中央病院で勤務している、七五三木史拓と申します。理学療法士となってから今年で12年目となりました。私の専門分野は地域リハとリハ栄養になります。栄養に関しては5年目くらいから院内のNST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)の活動に参加し始め、昨年度にNST専門療法士を取得しました。
数年前から栄養とリハビリは重要とされ、診療報酬改定においても早期の栄養管理とリハビリテーションの開始が評価されています。そして、今回の診療報酬改定では、栄養状態の評価方法が変更され、「Global Leadership Initiative on Malnutrition:GLIM基準」が導入されました。今回はこのGLIM基準を簡単ではありますが、紹介させていただきます。
【GLIM基準とは】
世界の主要な臨床栄養学会が共同で作成した成人用の低栄養診断基準です。低栄養の診断及び栄養治療における世界標準となることが期待されています。
【GLIM基準を用いた低栄養診断の流れ(図1)】
まずは栄養状態のスクリーニングを実施します。スクリーニングに用いるツールの指定は無くMUSTやNRS-2002といった検証済のスクリーニングツールを使用することが推奨されています。そのスクリーニングで低栄養のリスクがあると判断された患者に対してGLIM基準を用いて低栄養の診断を行います。GLIM基準は表現型基準と病因基準でそれぞれ1項目該当した場合に低栄養と診断します。低栄養と診断されたら重症度判定を行います。項目としては表現型基準の3項目でより高度な基準値を超えたものが1つでもあれば重度低栄養と判定され、そうでなければ中等度低栄養と判定されます。
【おわりに】
表現型基準の筋肉量減少と低BMIに関しては診断及び重症度判定で基準値が設けられておらず、人種にあった評価基準を用いる事を推奨されています。今後日本人の基準値が検討されていくことが期待されます。現時点で参考の基準値を知りたい方は、日本栄養治療学会JSPENホームページ「GLIM基準について」を参照ください。
図1 GLIM基準を用いた低栄養診断の流れ
*日本臨床栄養代謝学会 JSPENテキストブックを参考に作図
参考文献
日本臨床栄養代謝学会 JSPENテキストブック
日本臨床栄養代謝学会 JSPEN栄養療法ポケットブック