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書籍紹介「運動機能障害症候群のマネジメント 理学療法評価・MSIアプローチ・ADL評価」
未分類2024.08.30
Shirley A. Sahrmann著
竹井 仁・鈴木 勝監修
出版社:医歯薬出版
価 格:7800円+税
初めまして。桐生厚生総合病院の回復期病棟に理学療法士として勤務している黒澤と申します。今回、私の方からは『運動機能障害症候群のマネジメント‐理学療法評価・MSIアプローチ・ADL評価‐』を紹介させていただきます。
MSIとはMovement System Impairment Syndromes (運動系機能障害症候群)の略語でワシントン大学にて運動器に生じた慢性疼痛を研究されたシャーリー A. サーマン先生が提唱した評価及び治療アプローチです。
経過のみでは寛解が見られず慢性的に再発する疼痛について姿勢・アライメント・運動パターンから問題となる運動方向を評価します。問題となる運動方向は動き易さから生じます。関節の動き易い方向とは最も抵抗の低い動きということになります。その原因はストレスに対する組織の適応、過剰な可動性、隣接する組織の硬さや相対的な柔軟性(動作は柔軟な部位から動く)などが挙げられます。その運動方向から特定の姿勢や動作がパターン化され日常的に反復・持続することで運動機能障害に発展すると考えられています。そのパターン化された運動方向に生じる身体部位(筋・関節)への機械的ストレスを改善・パターン修正・管理していくことを目的とします。
本書は腰椎、股関節、肩関節の各部位から章を構成しています。各関節に生じやすい運動パターンの評価と治療と管理方法が事例紹介形式で記載されています。内容はかなりのボリュームで読み応えがあります。内容を飲み込むために解剖学や運動生理学を自分の中で整理しイメージできる様にしておく必要がありますが、自分の治療内容や考察を深める事が出来る一冊と思います。また、続編として頸椎・胸椎・膝・足部などの治療をテーマとした別冊(12000円+税)もありますので、興味があれば是非そちらも。
私が最初にMSIアプローチの講習会に行ったのはH22年頃と思います。外来の患者様の治療で慢性的な痛みと疼痛の再燃の壁にぶち当たり自分の引き出しのなさに悩みました。その中でMSIアプローチに触れてその考え方に度肝を抜かれた記憶があります。別の講習会でサーマン先生本人が講義する講習会に参加させていただいた時に先生は徒手的な治療の介入せずに運動パターンの修正と管理、指導で患者様の治療を中心に行っているとおしゃっていました。
流石ですね。私も精進であります。