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未分類2024.03.06
皆さん、はじめまして。私は沼田市にある大誠会内田病院で、理学療法士として勤務している金子俊介と申します。入職から現在まで回復期リハビリテーション病棟に所属し、4年が経とうとしています。
突然ですが、皆さんは日々の臨床の中で認知症を有する患者様と関わる機会はありますか?当院では、認知症を有する患者様に対してのリハビリやケアに力を入れていますが、私自身、入職時の印象として「認知症があるから、リハビリ進むか心配。」「しっかり評価してリハビリを提供したいのにそもそも評価が難しい、どうしよう」「認知症があるから、家に帰るのは厳しいよな」などがありました。
しかし2025年の日本では、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になるといわれています。ということは、それだけ認知症を有する患者様のリハビリに携わる機会が増えるということです。そこでコミュニケーションで困ったときには、当院の理事長である田中志子先生の言葉を思い出し、実践するようにしています。それは“自分がされて嫌なことはしない、どうしてほしいのか聞く”という言葉です。
「そんなの当たり前でしょ」、「なんだ、そんなことか」と思ったそこのあなた、自分の胸に手を当ててよく思い出してみてください。本当に患者様のことを中心に考えられていますか?患者様ではなく自分のペースで話を進めて、相手が嫌がっていたことはありませんか?自分のやりたいリハビリを押し付けていませんか?誰だって嫌なことは嫌なのです。認知症を有する患者様もその気持ちは同様です。だからこそ、してほしくないことはしてほしくないと言葉や態度で主張します。
私自身も“自分がされて嫌なことはしない、どうしてほしいのか聞く”という言葉には様々な場面で助けられてきました。どうしてほしいのかを聞くと「~がしたい」「~に行きたい」とお話をしてくれます。時には、「何もしたくない」と答える方もいますが、だからといって何もしなくていいのではなく、ご本人様の生活背景や趣味などを情報収集してみるといいと思います。そういった言葉一つ一つを拾い上げ、理由を考え、コミュニケーションなどの実践に移していくことが大切です。
と、偉そうなことを言っていますが、私自身もまだまだ認知症を有する患者様へのコミュニケーションは日々勉強中、模索中です。私が言いたいことは、この職業に就いた以上は、日々勉強することが大切だということです。常に“なぜ?”と疑問を持ち、調べて実践し、患者様からフィードバックをいただく、その繰り返しです。
今回は認知症を有する患者様とのコミュニケーションを例に出し、お話をさせていただきました。この文章を見てくださっている方々は、さまざまな病期や疾患、年齢の患者様のリハビリを日々行っていると思います。その中でも、認知症を有する患者様に関わる機会は今後の日本の社会的にも増えてくると思います。私自身もまだまだ分からないことだらけですが、患者様との関わることは、今でも日々勉強だと感じています。経験はもちろん必要ですが、関わる際の心構えをしっかり持っておくだけでも自分の中の何かが変わってくるかもしれません。
皆さんもぜひ“自分がされて嫌なことはしない、どうしてほしいのか聞く”という言葉を心にリハビリをしてみませんか?