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書籍紹介 『肘関節外科の実際(改訂第2版)-私のアプローチ-』
未分類2024.03.06
著者名:伊藤惠康
出版社:南江堂
価 格:¥22,000円
今回ご紹介する本は、私が勤務する館林市の慶友整形外科病院の名誉院長である伊藤惠康先生が執筆され、2023年2月に第2版が発刊された『肘関節外科の実際 -私のアプローチ-』です。当院は整形外科専門病院であり、あらゆる整形外科疾患に対し診療を行っております。整形外科疾患の中でも特に肘関節は、「神の手」として有名な伊藤先生に診察してもらおうと、遠方から多くの患者様が来院します。この教科書は、肘関節診療の第一人者である伊藤先生が、これまで培ってきた多くの臨床経験や研究の集大成であり、豊富な写真を元に理路整然とまとめられています。肘関節疾患の病態や評価、手術方法はもちろんのこと、小児の骨折や末梢神経障害などの診断困難な症例、麻痺肘に対する再建術など馴染みの少ない症例にもふれられています。肘関節疾患の病態・分類に関してイラストでもわかりやすく描かれており、X線写真やCT・MRI画像、術中写真も数多く掲載されているため、馴染みの少ない症例においてもイメージがつきやすいです。また改訂第2版では、前・後骨間神経麻痺などの内容が加筆されているため、関節だけではなく末梢神経についてもより深く学ぶことができます。また、野球肘障害の内側側副靱帯損傷の項では、伊藤先生が考案された肘内側側副靱帯再建術(伊藤法)の実際や手術に至るまでの診断、リハビリテーションからスポーツ復帰までの注意点などが詳細に記されています。また、野球肘障害でも治療に難渋することの多い離断性骨軟骨炎・肘頭疲労骨折は、的確な診断から病態に応じた手術の選択について記載されており、野球肘障害を診る上では、必ず知っておくべき内容が詰まっています。整形外科医はこの教科書で肘関節を勉強し、日常診療に取り組んでいると聞いています。私たち理学療法士も医師と同じ視点・考え方を持ち、病態や手術方法を理解することは、リハビリテーションを行う上でとても重要です。肘関節の全てがわかるこの教科書は、肘関節疾患を診る全ての理学療法士にとって、目から鱗な情報が満載です。ぜひ一度読んでみてください。