一般の皆様へ
会員の皆様へ
書籍紹介
未分類2023.09.01
「循環とは何か? 虜になる循環の生理学」
著者:中村謙介
出版:三輪書店
価格:4600円+税
はじめまして。書籍紹介をさせていただく前に私の経歴をお話しさせていただきます。私は長野県出身で大学進学を機に群馬県へ来ました。その後新卒で当院系列病院の回復期病棟にて2年間勤務し、現在は急性期病棟に異動し4年目となります。
本書籍と出会ったのは回復期病棟から急性期病棟へ異動した時で、重症度の高い患者様を担当させていただく機会も増え、病期の違いに悩むことも多い状態でした、特に循環器疾患の患者様を担当させていただく際には「循環が悪いってことは何が問題なの?」、「リスク管理として何を注意するべきか?」など、自分の知識不足、さらに技術が不足しているために、どのような介入や関わりを行って良いのか悩むことがありました。
今回ご紹介させていただく書籍は循環の生理学、特に酸素運搬と組織還流という2点にフォーカスを当て、運動時の生理学的変化や、リスク管理を流体力学や薬学なども合わせわかりやすく説明されています。私自身も介入時の運動負荷や、リスク管理において参考にさせていただいています。
以前の私は循環器というワードから「心臓」を中心に考えがちでした。特に介入において循環管理といえば、「心負荷」と短絡的な思考で、運動負荷では筋力練習の回数や肢位など大まかに考えていて行き詰まることがありました。この本には各臓器の循環を血流量を元に考察されている部分や、運動時の血液循環量変化や、血液の粘調度による血管負荷などを説明されている部分もあり多角的な視点が得られました。また常にそれらを考えることで介入によって全身状態がどのように変化したかを感覚的ではなく、論理的に多方面から理解することが段々とでき、実際に患者様の状態も改善する経験を得ることができました。その中で基本である生理学の重要性を改めて実感しています。
その他にも書ききれないくらいに、この書籍には循環をわかりやすく楽しく理解するための視点が記載されています。私の場合は急性期患者様に対して介入させていただく機会が多いですが、循環は人間の生命活動には欠かすことできない重要な要素で、病期は異なっても回復期患者様や、生活期患者様にもあてはまる部分もあるのではないかと思います。ご興味がある先生方は是非お手に取ってみてください。