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地域包括ケアシステムって何ですか?②
未分類2023.05.22
富岡甘楽地域リハビリテーション広域支援センターの取り組み
公立七日市病院 石橋 邦雄
(富岡甘楽地域リハビリテーション広域支援センター)
主な活動内容
富岡甘楽地域リハビリテーション広域支援センターでは、地域リハビリテーション推進協議会への参加、圏域の病院・施設向けの研修会の開催、介護予防サポーターの養成講座の講師、介護予防事業への参加 (講演、フレイル検診)、地域ケア会議 (自立支援型個別ケア会議)への参加、訪問型サービスCの実施に関わっています。
現状と課題
今なお続くコロナ禍において、一時はほとんどの活動が中止せざるを得ない状況となっていましたが、現在では感染対策に留意した中での現地開催の他、書面やオンラインの併用によって概ね再開されています。4つの市町村(富岡市、甘楽町、下仁田町、南牧村)の事業に携わっており、各市町村によって頻度や内容に差はあるものの、いずれも富岡甘楽支援センターの2名(自分、OT櫻井氏)に加えて、一部七日市病院のスタッフに協力して頂きながら対応しています。
具体的な対応例として介護予防サポーター育成講座や各種介護予防事業に関して挙げますと、各市町村の担当者(地域包括支援センターの担当者が主)と直接やりとりして講演の内容や方向性を決め、あとは当方で資料作成をし、実際に対象者の方々へ講演をしています。受講する対象が介護予防サポーターの方々の場合と、そうではない一般の住民の方々とでは、年齢層だけでなく介護予防への理解度等にも差があるため、受講対象者に応じて講演内容に工夫をしています。内容の実例として南牧村のフレイル予防事業を挙げますと、一般住民へ向けて「身体の健康と運動について」というタイトルで、主に加齢に伴う身体の変化と、それを予防していくにはどういった運動が良いのかということに焦点を当てた内容にしました。村の3か所で分けて開催されたのですが、いずれも参加が10~20名程度の少人数ということに加え、一部個別に指導できる時間も設けたことで、わかりやすく実践的で、運動の重要性が感じられる内容となり、理解が非常に深まったのではないかという手応えがありました。参加者にご好評を頂いたとのことで、2023年度は受講対象を広げて若い層の方々にも講演をしてもらえないかとのご依頼を頂いており、担当者と新規事業として相談をしているところです。
地域ケア会議への参加も各市町村で定期的に開催されていたり、上記の他にも市町村から希望の来ている新規事業もある状況のため、現在のマンパワーでは対応しきれていないのが現状です。この広域では協力病院との連携が上手く行えていないのが大きな課題で、それに反して需要はある状況のため、早急に連携とシステム作りを進めていかなければならないと日頃から感じており、今年度どのように進めていくかを目下検討中です。
「オンライン通いの場」の実証事業
一昨年度から群馬県の実証事業として「オンライン通いの場」が開始されました。「通いの場」とは、高齢者をはじめ地域住民が、他者とのつながりの中で主体的に取り組む、介護予防やフレイル予防に資する活動・集まりの場ですが、コロナ禍において各所で中止となったケースが多かったようです。通いの場が開催されなくなり、閉じこもりがちとなった高齢者へ向けて、オンラインで行うことが可能かどうかを検証した事業が、当事業になります。群馬県では最初に甘楽町、次いでみどり市で行われました。内容としてはスマートフォンの操作説明・練習に始まり、各種介護予防関係の講話(フレイルや認知症予防等)やストレッチや筋トレ、コグニサイズ等の他、毎回、意見交換・交流会がありました。参加者がテーマに沿った写真を投稿し、その話題に触れたり、皆で交流するなど、参加者がとても楽しんでいる様子が伺えました。実施していく中で課題として見えてきたことは、高齢者に方々にとってはまずスマートフォンの操作に難渋することが多く、その指導や練習にかなりの時間が必要だった点です。また今回は端末を無償貸与されていましたが、実際に行うとなると所持していない高齢者も多く、購入の手続きや費用の問題等、クリアしなければならない課題は多いように感じました。しかし、一旦慣れてしまえば、参加者が自ら講義の内容を後で復習することができたり、体操の動画を好きなときに見返して自己練習できるなど、オンラインならではの活用法も聞かれ、今後実際に広く実践されていくことが期待される大変有益な事業でした。
「オンライン通いの場」の様子
(口腔フレイルの講話.参加者の顔はぼかしています)
「地域包括ケアシステム」という一括りの言葉だけでは漠然としたイメージが先行し、具体的な内容が見えにくく感じていましたが、行政や地域住民の方々と関わっていく中で、色々と見えてきたこと・学べたことが多いです。皆様も機会があれば是非積極的に関わってみてください。