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書籍紹介
未分類2023.03.08
「入谷 誠の理学療法 評価と治療の実際」
医療法人財団明理会 イムス太田中央総合病院 鈴木 雄太
著者:入谷 誠、園部 俊晴
出版社:運動と医学の出版社
価格:5,000 円+税
はじめまして。私はIMSグループ医療法人財団明理会 イムス太田中央総合病院 リハビリテーション科 理学療法士7年目の鈴木雄太と申します。今回、ご紹介させたいただく書籍は"入谷誠の理学療法 評価と治療法の実際"です。本書は第1章~第8章まであり臨床推論、基礎知識、評価、治療と沢山の事を学べる内容がありますが、今回 紹介させていただく内容は"第1章 仮説検証作業"についてです。まだまだ未熟者の私ですが、何となくあった自分なりの臨床の考え方が整理され、沢山の気づきを与えてくれたのが本書でした。
日々の臨床に一心に向き合っていたとしても、"どうしてなのかわからないけどよくなった"、"気付いたら痛みが とれた"、"この結果は自分の介入の効果によるものなのか"なんて事を感じたり、経験された若手の方はいますか。私自身がそうでした。問題現象に対して介入するも改善した理由を言語化する事が出来ず終いでした。例え良い介入結果が得られたとしても理解出来ていないのであれば、専門性とは如何にと腑に落ちない事が多々ありました。そんな中私は本書と出会い、足りない考えに合点がいきました。臨床推論における思考過程として大切な 事は全て仮説から始まるという事です。評価結果を基に仮説があり、検証して効果判定が得られたものは仮 説立証として治療対象となると言う事、また思い込みを捨ててひたむきに疑問を持ち続ける事で知識・経験 の積み重ねていき、少しずつ専門性が持てるようになるのではないかと感じました。しかし読みながら感じた事はまず第一に仮説を立てる事自体に難渋するのではないか。その為には知識が必要であり、その都度調べながら臨床に取り組むが、やはり時間が経ち考えよりも先に抽象的な介入で結果が出てしまう事もあるのではないか、と感じました。ですが、最初はそれでもいいと私は思います。なぜならば、理想としては仮説 検証作業ができて狙い(根拠)をもった介入ができる事がより専門性の高い介入だとは考えられますが、これは知識も経験も必要で難易度が高いと思います。その為、私なりの解釈としては理想に近づける為に、手応えを感じた介入が行えた場合には必ず考察をする事。これを大事にしたいと思いました。そうする事で、後付けの考えが次の仮説列挙に活きてくると思います。そうして次第に積み重ねの知識・経験が仮説を基に、根拠のある介入に繋がり、理想に近づくと考えます。私自身は狙いを持つ為に、仮説検証作業をしつつ、足りない所は後付けで考察するよう心掛けています。
私自身まだまだ患者様を通して勉強中の身で分からない事に直面しますが、私の中では"幹"となる概念を 持ち、知識・経験を基に多角的に考察をする"枝"と柔軟的な観察力・気づきを持つ"葉"と各部位を少しずつ 成長させ、立派な"自分の木"を育てる事を意識して臨床に取り組んでいます。そしてこの仮説検証作業という臨床推論を軸に臨床にあたる事は理学療法士が目指すべき体系の1つなのではないかと思います。
今回は本書の考え方の部分のみお話しさせていただきました。全ては伝えきる事はできませんが、分析的 思考を持つ方・持ちたい方、病態からだけでなく身体機能・能力から根拠を持った介入をしたい方、運動器疾患、骨関節系に関わっている方、関節モーメントを学びたい方、入谷式足底板を学びたい方にお勧めできる書籍となっています。ぜひ、ご興味ある方はお手に取ってみてください。